いまスポーツ選手のメンタルヘルスが世界中で問題になっています。トップ選手に限らずアマスポーツ、部活動においてまでも深刻な問題です。
トップアスリートだった水泳の萩野公介さん、プロテニスの大坂なおみさんなど、天才肌でメンタルの弱さなどは無縁と思われていました。体力の許す限り、無敵の強さを発揮する選手と思っていました。
しかしながら、何が彼ら彼女らの心身を蝕んでいるのでしょうか…?
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ハーバード大学医学部助教授・マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長の内田舞さんが、アスリートの“心の問題”について発信されています。
アメリカでは、今年の3,4月の2か月間で大学:体育会の5人の選手が自殺したという報道がありました。また、アメリカンフットボールの名門大学で活躍していた選手が、心の内面で「自殺までは考えていないが、死を願う気持ちがある」ことを理由に休養し、そのまま引退したというニュースがありました。
内田さんの話では、アスリートは『身体的に強いから、メンタル的にも強い。何があってもメゲナイでいるべき』というイメージを持たれがち。このような “社会が抱くイメージ” によって、選手たちの心は逃げ場を失っている。しかし、“身体的に強い” と “精神的な強さ” は別物です。
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“問題の根幹”は、選手も周囲の人も競技結果を含めた “外部の価値基準で決まる評価”=『外的評価』にとらわれやすいことです。
スポーツは勝ち負けがある以上、外的評価は付きまとう。結果に表れる目標を持つことは自然だし、モチベーション維持にも大事なことです。
また、周囲の応援は選手の活力になることも多いです。
しかし、外的評価だけに固執しすぎては危険。目標が達成できなかった時には、選手は絶望を味わいます。また外的評価は、よくなったり、悪くなったりと簡単に変わってしまいます。周囲の評価も、突然ネガティブになったりと不安定なものです。
萩野公介さんの苦悩
競泳のリオ五輪金メダリスト・萩野公介さんは、メディアから『天才・萩野公介』と呼ばれることに、「それは僕ではない」と本来の自分との乖離(かいり)を感じていました。
萩野さんのメンタルヘルスの不調が目立ってきたのは、リオ五輪後、右ひじの古傷を手術してからでした。思うような泳ぎができない中で、以前から感じていた「本来の自分」と「期待される自分」との『乖離』が、広がっていきました。そして、部屋から一歩も出られず生きる意味すら見いだせない時期があったことを告白しています。
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『外的評価』を過剰に意識しすぎて自分が追い詰められる心を、どう助ければいいのでしょうか。精神科医の内田さんは、本人の『内的評価』を育てることが大切だと言われています。
『内的評価』とは、競技結果などの外的評価では測れない自分の内面的な評価のことで、「結果はイマイチだったけど、今までよく練習頑張った」などの満足感や達成感がこれにあたります。
内田さんは、苦しい気持ちになった時は自分と向き合い、自分の良い部分を褒めるなどして『内的評価』を育てる努力をしてほしい。また、スポーツ以外の世界に興味を持つことも推奨しています。
バレーボールの元日本代表の大山加奈さんの苦悩
10代の頃から不眠などの症状に苦しんでいたことを明かしています。「10代の頃はバレーボールがすべてで、苦しいことを忘れられる時間が全くなかった」と…。
この経験より「競技は人生の一部でしかない。色々なことを体験してほしい」と若いアスリートにメッセージを送っています。
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内田さんは、脳の発達という点から、10~20代はメンタルへのリスクが大きいと指摘。「前頭前野」という感情をコントロールする脳の部位は、20代後半になって成熟する。10~20代の肉体的なピークを迎えた時期は「前頭前野」がまだ成長途中で、心と体が “不一致” な状態だとも言われています。
競技に必要な能力をトレーニングするのと同様に、自分の心についてもトレーニングをしてほしい。「自分は試合前にすごく不安を感じるから、不安をコントロールできるように練習しよう」など…。
そのようにして、フィジカルトレーニングやリハビリと同じように『心のトレーニング』も考えてみる必要があると思いますね。
まとめ
私は、水泳の萩野さんはリオ五輪時は、本番でビビることもなく普段通りの結果を出せるスーパースターだと思っていました。そのかたが、メンタルヘルスの不調で休業するというニュースを聞いて正直驚きました。注目される選手は、どうしても「期待される自分」と「本来の自分」との『乖離』が生じた場合は苦しめられますね。どうしようもなくなったら、内的評価のトレーニングによって休んで体調を整えることがお勧めです。
今、超話題の大リーグの二刀流の大谷翔平選手は、誰もが踏み込んだことのない領域で頑張っています。彼は純粋に野球が好きで、且つ世界一になりたいと懇願しています。常に外的評価は、「期待されている自分」以上になっていると思います。二刀流をしている今の自分が「本来の自分」なのでしょう。仮に、二刀流をやめさせられたら、思い悩むかもしれませんね。
彼もスランプで落ち込むこともあると思いますが、周囲の我々としてはその姿さえも微笑ましく見守ってあげたいと思います。